自称CEOの雑記事

ご覧くださいまして、誠にありがとうございます。PS-Customize代表の渡邊です。
おかげさまで、修理等の依頼達成数が100件以上になりました。この場にて御礼申し上げます。
ただ、依頼数が多い=故障する機体が多いということなので...(本来は故障しないほうがよいのでしょうが...笑)

前置きが長くなりましたが、ここでは、各種お知らせに加えて、日々の研究記録や役立つ情報(?)などを掲載していきます。更新は不定期です。

*本記事における内容の正確性は保証しません。本記事を参考に修理や改造等を試みる場合は、くれぐれも自己責任のもとで行ってください。

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PS-Customizeについて(特定商取引法等の表記)

現在の受付状況・作業の進捗状況

ご利用ありがとうございます。作業状況や順番については、以下の通りとなります。

順番待ち等の状況により、受付から3日~最大2週間程度お待たせする場合があります。
また、着荷確認日や作業内容、その他当方の都合により、順番ならびに作業開始予定日、作業に要する日数が前後することがあります。
大変恐れ入りますが、ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。 

*記載内容について
受付日 お名前 依頼品の型番 受付状況 加工内容等の備考(管理用の略称)


1:8/30 トクミツ様 CECHB00 PL交、OH
(10/7 返送手続き中、ご入金を確認いたしました。)

2:9/1 トノサキ様 CECHA00 BD交、OH
(10/7 作業開始⇒「検品中」)

3:9/7 イケダ様 CECH-4300C 着荷確認済 10/14作業開始予定
4:9/7 ヤマモト様 CECHA00 着荷確認済 10/16作業開始予定
5:9/11 サトウ様 CECH-3000A 着荷確認済 10/21作業開始予定
6:9/20 ハットリ様 CECHA00 着荷確認済 10/23作業開始予定
7:9/20 オカ様 CECHB00 着荷確認済
8:9/24 アラキ様 CECHB00 着荷確認済

10/4 イソガイ様 CECH-4000B 依頼内容確認済、返信いたしました。
10/6 イトウ様 CECH-2500A 依頼内容確認済、返信いたしました。
10/4 マツヤマ様 CECHA00 依頼内容確認済、返信いたしました。
10/6 コバヤシ様 CECHL00 依頼内容確認済、返信いたしました。
10/6 スズキ様 CECHA00 依頼内容確認済、返信いたしました。
10/6 シムラ様 CECHA00 依頼内容確認済、返信いたしました。

2024.10.7 現在

臨時営業・休業日の指定について

特にございません。

2024.10.7 現在

依頼数カウンター

総依頼受付数:117件

修理して返送:110件
(そのうち一年以内に再修理:3件)
(そのうち返送直後に不良発生:2件)
修理不可のため返送:6件
不具合なしのため返送:1件

※キャンセルや受付前に修理不可と判断した例は含んでおりません。

2024.10.7 現在

お子さまのイタズラには要注意?笑(2024.8.12)

以前、修理のご依頼でお預かりしたCECH-3000A。
ディスクの読み込み不良と異音が見受けられるとのことでした。

動作確認時は、一部読み込めないディスクがあったものの、異音はしませんでした。
原因の特定のため分解してみると…
なんと、バッグ・クロージャ―(食パンの袋を留めるプラスチック器具)がドライブ内に入っていました。異音の原因はこれのようです。
なお、読み込み不良については、ピックアップレンズの交換にて修理しました。

このバッグ・クロージャーについては、依頼者さまに確認したところ、「どうやら子どもが入れたようだ」とのことでした。

なんともクスッとしてしまう原因ではありますが、仮に金属製のものだった場合は、電気系統がショートしたり、ドライブ内のプラスチック製ギアの折損なども起こりえます。
スロットイン式のドライブは、中に物が入ってしまうと、分解せずに取り出すのは困難になりますので、イタズラにはご注意ください。

☆余談

この機体の基板(KTE-001)には、ELPIDA(JAPAN)製のXDR DRAMが搭載されていました。

MicronによるELPIDA(旧NEC日立メモリ)の吸収合併が完了したのは2013年の夏、CECH-3000シリーズの発売は2011年の秋ですので、このXDR DRAMはELPIDA終期の製品です。

現在だと、KIOXIA(旧東芝メモリ)製のNANDフラッシュメモリでJAPANの刻印をみることができます。SSDやUSBメモリに採用されており、一般向けでは唯一の日本製だと思います。

過去には、富士通や三菱もDRAMを生産していきましたが、2000年代以降は衰退していきました。
直近だとRapidusが新たに誕生しましたが、日本の半導体産業の復活の第一歩となってほしいですね。

初期型PS3におけるCELL/RSXの殻割り(2024.8.3)改二:2024.8.4

☆CELL/B.E. CXD2964GB(90nm)

PS3のCELLとRSXのヒートスプレッダ(IHS)とダイの間には、熱伝導グリスが採用されています。
このヒートスプレッダをパッケージから外すことを俗に”殻割り”といいます。

本体温度の上昇を知らせる警告が頻繁に表示されたり、XMB画面で待機させていてもファンが高速回転になる機体は、平均動作温度が高いCELL側のグリスの劣化が原因であることが多いです。

グリスの塗り替えには、ヒートスプレッダを取り外す必要がありますが、CELL側は厚さ約0.3mmのシーリング剤により固定されています。
また、ヒートスプレッダとシーリング材塗布面には約0.5mmの段差があります。

薄く鋭利なものでカットしていきます。
カッターナイフの刃や缶詰の葢、プラモ用ノコギリ、薄い金属板などが候補に挙がるかと思いますが、使いやすいものを選んでください。

刃がある方がカットしやすいですが、角部でパッケージに傷を付けるおそれがあるため、加工が利く金属板で専用の治具を自作するのがよいでしょう。

カット時は、くれぐれもパッケージ表面に傷を付けないように注意しましょう。小傷なら問題ない場合もありますが、刃先をやや上に向けるイメージで、パッケージにあたらないようにすることが重要です。

後述するRSXの殻割りについては、はんだボール等への悪影響がある可能性が指摘されているため、あまりお勧めできません。グリスの劣化は、CELL側で起こることがほとんどですので、まずはCELL側を実施し、改善されなければRSX側も行ってください。

☆RSX CXD2971GB(90nm)

RSX側にはシーリング剤は使用されておらず、角にある4個のVRAMに接着剤が塗布されており、これによりヒートスプレッダを固定しています。

これを取り外す際は、テコの原理を使います。
パッケージに注目すると、ダイの上下および左側には、MLCCや抵抗等が実装されていますが、右側には何もないことが判ると思います。

ここにバターナイフやスプーンなどを差し込んでテコの原理で取り外しますが、パッケージの保護のために支点の部分を厚さ0.4mm程度のプラ板等で養生しましょう。
ヒートスプレッダとパッケージの隙間は約1.1mmですので、有効な隙間は0.7mm程度となります。この隙間に入るものを選んでください。
マイナスドライバーなど、接地面が狭く力が集中するものは避けたほうが無難です。
また、ヒートシンクが飛ばないように養生テープ等で固定しておきましょう。

無理に力を加えると、パッケージやはんだボールにダメージを与えたり、VRAMが剥離してしまうことがります。ヒートガン等で加熱しながら、ゆっくり力をかけていきます。

殻割りは難易度が高いですが、グリスの塗り替えによりコアの温度を10°C近く下げることもできます。
YLODの予防に大きく寄与するので、対策の一環として実施してもよいでしょう。

失敗すると再起不能なため、大事な本体で実施する場合は、事前に壊れた基板で練習したり、本体が起動する場合はセーブデータのバックアップと取ることをお勧めします。

8002F1F9エラーにおける無線モジュールの種類ごとの故障原因(2024.8.2)

☆J20H055 REV.1.1


このモジュールが搭載されている基板では、モジュール自体が故障していることが多く、レギュレーターの交換では直らないことがありました。
また、レギュレーターの電圧が正常なこともありましたので、レギュレーターの故障による巻き込み故障ではなく、単体で故障するケースもあると考えられます。

4x00番台におけるメイン基板の組み合わせは以下の通りですが、「この基板=この無線モジュール」といった例はなく、ロット等によりランダムで搭載されているようです。

CECH-4000系:MSX-001,MPX-001,NPX-001
CECH-4200系:NPX-001,PPX-001,PQX-001
CECH-4300系:REX-001,RTX-001
※CECH-4000系においては、NPX-001(28nm RSXを搭載)が採用されている機体も存在します。

☆AW-GM381-2-12040-0BH REV 1.1


このモジュールが搭載されている基板では、レギュレーターの交換で直ることがほとんどでした。
レギュレーターに巻き込まれて故障することが少ないのかもしれません。

まとめると、
・J20H055 REV.1.1
⇒無線モジュール自体が故障している場合が多い。
・AW-GM381-2-12040-0BH REV 1.1
⇒レギュレーターが故障している場合が多い。
ということですが、お客さまからの依頼品を含めてサンプルが20台ほどですので、これがモジュールの違いによるものなのかは定かではありません。

ただ、モジュールの見た目からもわかる通り、内部の構造や使用されているコンデンサ等の部品は大きく異なると思われますので、どちらかに故障しやすい箇所があるといったこともあり得るでしょう。

8002F1F9エラーによるアップデートループの修理例(2024.3.30)改六:2024.8.2

最近、「8002F1F9でアップデートエラーループが発生し使用できなくなった。」というお問い合わせを多くいただきますが、今回はその原因と修理方法の一例の解説になります。

まずはじめに、考えられる主な原因は、
・Wi-Fi/Bluetoothモジュール(以下、無線モジュールと呼称)に電源を供給する回路の部品が故障
・無線モジュール自体が故障またはそのはんだボールにクラックが発生
となります。

無線モジュールが故障すると、Wi-Fi接続やBluetooth機器との通信ができなくなります。
また、原因がいずれの場合でもコントローラーによる無線経由での電源ONが出来なくなっているはずです。

この故障は、CECH-2000系以降の機体で発生する代表的なもので、その多くはRT8057GQW(データシート)というレギュレーターの故障が原因です。
これを交換または代替品を実装すれば、高確率で直ります。

(3.3V等の回路もありますので、これ以外が原因となっているおそれもあります。) 

8002F1F9エラーは、YLODのように突然発症することはなく、部品に何らかの異常がある状態でアップデートをしたときのみ起こります。(別の部品に不具合がある場合は、異なるエラー番号が表示されることがあります。)

アップデートをする前に無線モジュールの故障に気づいたとき(無線LANに接続できない、コントローラーが無線で使えない等)は、速やかにバックアップを取りましょう。

今回紹介する修理方法は、代替品の実装です。
分解&はんだ付けスキルをお持ちのかたであれば、ご自身で修理するのも可能かと思われます。

具体的には写真の通りですが、作業をする前に原因が当該レギュレーターなのかを確認してください。

本体が通電&電源OFFの状態とし、テスターで写真の1.8Vを示している箇所を計測してください。
出力が1.8~2.4V前後であれば正常です。0Vになっていれば代替品と取付で直る可能性が高いです。0Vを超える場合は、レギュレーターまたはその他部品の交換が必要です。

写真は、CECH-4000Bにて三端子レギュレーター(AMS1117-1.8V)を実装した様子です。

実装後、本体を起動してアップデートを進めたところ、エラーが表示されることなく正常に終了し、起動できるようになりました。

原因と思われるRT8057GQWは、修理前の出力が0Vの場合は取り外さずに実装したままとしてください。
なお、0Vを超える電圧である場合は、この方法では修理できません。まずはレギュレーター自体を交換して出力電圧が正常になるかを確かめてください。

当店では、新品のRT8057GQWへの交換または代替品の実装により修理を行っております。
同じような症状でお困りのかたは是非お問い合わせください。

無線モジュール自体が原因であった場合は、基板交換による修理をするか、本体を買い替えいただくことになります。(新品の無線モジュールを入手することが困難なため、当店では無線モジュールの再実装や交換による修理は行っておりません。)

CXR713120系のSysconとBD-410の組み合わせ(2024.3.30)改:2024.8.4

☆CECHA00とBD-400

BD-400は、オリジナルのCECHA00,B00に搭載されているBDドライブです。
対応するBDドライブ基板には、BMD-001、002があります。国内版は全てBMD-001が採用されていると思われます。

採用されているピックアップユニットおよびレンズは、KEM-400AAA(KES-400A)となります。

※最後に記載している組み合わせリストについては暫定となります。詳しくご存じのかたは情報提供をお願いいたします。

☆CECHQ00とBD-410

BD-410は、オリジナルのCECHH00,L00,Q00に搭載されているBDドライブです。
対応するBDドライブ基板には、IDE(PATA) 60pのBMD-003,006,011およびSATA 24pのBMD-021,031があります。

国内版はBMD-003,006(CECHH00,Q00)、021(CECHL00)が採用されていると思われます。
BMD-011については採用されている可能性は低いですが、BMD-031は採用されている可能性がありそうです。

☆BD-410の底面

写真は、CECHA00,B00用のBD-410ドライブです。規格上はH00,Q00用と共通です。H00,Q00用はフラットケーブルの長く、横に少し突出しています。

なお、L00用のものはSATA 24p接続ですので、規格およびフラットケーブルの形状が異なります。

BD-410で採用されているピックアップユニットおよびレンズは 、KEM-410ACA,410CCA(KES-410A)ですが、2007年10月までに製造されたH00等には、KEM-400ACA(KES-400A)が採用されたBD-410が搭載されているようです。

☆CECHA00とBD-410

組み合わせリスト
・BD-400
BMD-001
→正常に動作する。
BMD-002
→動作するものの、国内版(リージョン00)ではPS1,2が起動できない。

・BD-410
BMD-003,KES-400A
→正常に動作する。
BMD-006,KES-410A
→正常に動作する。
BMD-011
→不明(動作するものの、リージョン等の問題が発生するおそれがある。)

YLODにおける特殊な原因 ~BDドライブ基板編~(2024.2.1)改二:2024.3.30

YLOD=はんだボールのクラックやプロードライザ劣化が原因の大多数を占めていますが、他にも原因があります。

これはCECHA00のBD-400ドライブ用基板のBMD-001ですが、5V系回路の積層セラミックコンデンサ(MLCC)が故障しYLODが発生しています。
BDドライブの4ピン電源ケーブルを接続するとYLODとなり、接続しないと正常に起動します。

テスターで検査したところ、取り外したコンデンサのうち片方に問題があることが判りました。

正常品に交換し再実装しました。
無事に起動するようになりました。

似たような事例として、HDDやSSDの故障(ショート等)が原因でYLODになっているケースがあります。
Sysconリーダーを使用したトラブルシューティングが確実ですが、最短構成で起動するかを確認することで、メイン基板に問題があるのか、それ以外に問題があるのかを判断できます。
修理を試みる場合は、故障原因を正確に認識し的確に行いましょう。

PS3における公式リファビッシュ基板の表記(2023.4.15)改二:2023.11.16

メイン基板のyyyy-mmは、基板が修理された年月を表します。

USBポートの「40」または「F」のシールは、RSXのプロセスルールを表します。

①2010年7月に修理されたCECHA00 COK-001基板です。

②SysconはCXR714120-303GBに換装されています。

③RSXは65nmに換装されています。

①2012年10月に修理されたCECHL00 VER-001基板です。

②NORフラッシュが新しいものに交換されています。(RSODやYLODの原因)

①2013年4月に修理されたCECHA00 COK-001基板です。RSXは40nmです。

②SysconはCXR714120-304GBに換装されています。

③プロードライザも1個だけ新しいものに交換されていました。

PS3のSysconについて(2023.3.13)改四:2024.9.16

☆CXR713120-201GB
ボタン電池の端子横にSysconというチップがあります。これは、基板上の部品の電源を制御したり、各種パーツの構成を担うチップです。型番によって対応している部品が異なり、写真のCXR713120では65nm/40nmのRSXを扱うことができませんが、後期型のBD-410ドライブについては扱うことができるようです。(詳細はこちらの記事に掲載いたします。)

CECHA00の後期生産品?において、出荷時からCXR714120とBD-410であると考えられる機体(CELL/RSXは90nm)は確認できました。

CECHA00のオリジナル基板では、CXR713120が実装されていますが、リファビッシュ品など、RSXやドライブなどが標準以外の部品に交換された基板では、CXR714120が実装されています。
CXR714120はCECHH00などにも採用されています。 
なお、CXR系SysconはH00までの機種で採用されており、L00以降はSW系Sysconとなっています。

☆CXR714120-303GB
これは、65nm RSXとBD-410ドライブが搭載された公式リファビッシュ基板に実装されているSysconです。

ハイフン後の型番は、65nmの場合は303GB、40nmの場合は304GBとなります。40nmの場合で303GBなどの組み合わせは未確認ですが、存在しないと思われます。

※新情報(2024.3.30追加)
CXR713120が実装されている機体でもBD-410が搭載可能との情報提供がありました。
提供者さまによると、CXR713120-202GBが実装されている機体でBD-410(BMD-006基板、KES-410A双眼レンズ)といわゆる再紐付け(Remarry)を行ったところ、正常に動作したとのことでした。
貴重な情報をありがとうございました。

※新情報(2024.9.16追加)
CECHB00において、出荷時からCXR713120でドライブがBD-410であると考えられる機体を複数台発見しました。
シリアルナンバーはいずれも02-27430202-15xxxxxとなっていました。


65nm/40nm RSXが搭載されたPS3の公式リファビッシュ基板(2023.3.13)改二:2024.8.12

☆CELL:CXD2964GB 90nm、RSX:CXD2971GB 90nm の基板
写真はCECHA00のオリジナルCOK-001基板です。最初期ロットですので、黒CELLが実装されています。

CELLとRSXはどちらとも90nmが基本的な仕様ですが、65nm/40nmのRSXに交換されている基板が存在します。
そのような基板においては、BDドライブが後期型のBD-410ドライブに交換されていることがあります。
ディスクが回転しながら吸い込まれていく場合はBD-410、そのまま吸い込まれていく場合はBD-400が搭載されていると判断することが出来ます。 


ディスク挿入時に「回転しながら吸い込まれていく」機体は、高確率で別に記載の公式リファビッシュ基板が搭載されています。
ただし、CECHA00,B00の製造終了間近に生産された一部の機体は、標準でSysconはCXR714120、ドライブは後期型のBD-410を搭載していることがあるので、その全てが公式リファビッシュ基板搭載品とは言えません。
*Sysconについては、上の記事を参照してください。

・参考
65nm RSX:CECHH00~CECH-2000で採用されているRSX
→CXD2982系またはCXD2991系

40nm RSX:CECH-2100~CECH-4000で採用されているRSX
→CXD530x系

BD-400ドライブ:CECHA00,B00に標準搭載されているドライブ
→BD基板が露出しているタイプ

BD-410ドライブ:CECHH00,L00などに搭載されているドライブ
→BD基板が内蔵されているタイプ

☆CELL:CXD2964GB 90nm、RSX:CXD5300DGB 40nm の基板
写真はCECHA00のCOK-001基板ですが、RSXは40nmのものが実装されています。

YLODの原因は多岐にわたりますが、RSX側のプロードライザの劣化またはRSX側のはんだボールのクラックの二つが大多数を占めています。
CECHL00以降では、プロードライザの劣化であることが多いですが、CECHA00,B00では、はんだボールのクラックが原因であることも少なくありません。
この他の原因としては、BDドライブ基板やフラッシュメモリの故障、電気回路のショート、ブリックなどが挙げられます。

プロードライザは、当時としては画期的な製品ではありましたが、あまり品質が良くないうえ、熱への耐性が低いという弱点がありました。同製品が採用されたノートパソコン等でも同様に劣化して故障する機体があったようです。
PS3では、CELL側とRSX側の両方にプロードライザが採用されていますが、プロードライザの劣化によるYLODのほとんどが、RSX側のプロードライザが原因で発症します。
これは、RSX側のプロードライザの静電容量(1,200μF×4=4,800μF)が設計上ギリギリのため、容量抜けを許容できる度合いが小さいためです。

Sony公式にYLOD修理を依頼した場合は、その時期によって、新しいRSXが実装された対策基板に交換されました。
公式に修理に出すとセーブデータ等が消えてしまうため、当時は敬遠されがちでした。そのため、このような対策基板が搭載された機体は数が少なく希少です。
オリジナル機と比べると、消費電力量は少なく、ディスクの読み取りが速く安定しており、排熱温度も低くなっています。初期型固有の機能を有しながら、内部のパーツをアップグレードした、最高の機体と言えるでしょう。

一概には言えませんが、2010年第二四半期頃までに公式修理にて基板交換をした機体は、65nm RSXとBD-410ドライブまたは40nm RSXとBD-400ドライブ、それ以降に交換されたものには、40nm RSXとBD-410ドライブが搭載されていることが多いです。65nm RSXとBD-400ドライブの組み合わせのみ確認出来ておらず、存在するか不明です。

封印シールが偽装されたPS3に注意!(2023.2.20)

こちらは、第三者によって一度開封されており、あたかも未開封であるかのように偽装された封印シール(CECHA00)です。本体は某オークションにて入手しました。
写真をよくみると、シールの歪みや貼付位置のズレがあります。また、右側に鋭利なもので剝がそうとしたときにできた傷があり、光の当たり具合ではシール内に気泡が入っていることが判ります。
こういった偽装品は、粗悪な修理品やジャンク紛いの品であることがほとんどです。

こちらは、完全未開封の封印シール(CECHH00)です。
歪みや不自然なズレ跡、不自然なキズ、シール内の気泡などは見受けられません。左の写真は判りやすい偽装ですが、注視しないと気付けないかと思います。
偽装品かもしれないということを念頭に置いたうえで購入しているのであれば構わないのですが、何も知らないで購入し使用していたら「突然故障した」等の不幸に見舞われる方もいます。
オークション等で手に入れる際は、出品者をよく確認してくださいね…

PS3 CECHA00,B00の部品には様々な種類がある!(2023.2.14)改二:2024.8.3

☆冷却ファン
前期型に採用された19枚羽タイプ(NMB-MAT BG1402-B045-P00)と後期型に採用された15枚羽タイプ(Nidec D14F12BS1-01H1)があります。
どちらも12VDCで動作しますが、NMB-MATは2.90AでNidecは2.65Aとなっています。
静音性、風量はNidec製のほうがやや優れています。

☆黒CELL
最初期のCECHA00 COK-001基板に実装されているCELL/B.E.は、黒色の刻印が施されています。後のロット以降は無色の刻印ですので、製造台数が少なく希少です。

☆電源ユニット
日本向けPS3では、036型(画像下)と037型(画像上)の2つが存在します。
定格出力容量は同じですが、構造が全く違います。変換効率は037ユニットのほうがよいです。
ちなみに、036ユニットが搭載されているCECHA00は高確率で黒CELLです。

PS3 CECHB00のYLOD対策済特製品を製作!(2023.2.8)

在庫のCECHB00を使って、YLOD対策機を製作します。
完全オーバーホール、穴あけ+12cmファン+ガード+ゴム足取付、内部4㎝ファンの取付をします。
製作に使用するPS3は、修理歴及びYLOD発症歴無しの健康な機体です。

本体を全分解し、ホコリや汚れを取り除きました。写真はメイン基板ですが、各種チップ類に異常がないかを点検した後、CELLとRSXの熱伝導グリスを6.5W/mkのものに塗り替えました。上位グレードの加工になると、10~90W/mkの熱伝導シートを使用します。

筐体下側の加工をします。穴あけ加工をして部品を取り付けた後、本体基板ユニットを組み込んでいきます。上位の加工だと回転数制御装置を取り付けたり自動制御にしますが、このファンは静音タイプですので、電源ユニットから直接供給します。

電源ユニットは037型です。上カバーを取り外して、脇に4cmファンを設置します。電源は12VDCで、電源ユニットから供給しています。直接冷却するのではなく、熱い空気を滞留させないために取り付けています。